意思を持って、進む

雑記

 新人賞に対するアプローチの仕方にはおそらくいろいろあり、世の中にも様々な「対策」が流布している。すがるような気持ちでそうした情報を求めている人もいるだろう。

 新人賞について考えるとき、わたしが必ず思い出す文章がある。

 それは、第六回小説すばる新人賞の受賞作である村山由佳の「天使の卵」という作品、その文庫版の「解説」として収録されている村上龍による言葉だ。

 新人賞を取ってデビューする作家は、ハードルを越えるか、網の目をくぐるか、すべてをなぎ倒すかして、手強い選考委員の文学的な価値観を突破しなくてはならない。

村上龍 集英社文庫「天使の卵/村山由佳」の解説より

 これを読んだとき、わたしが目指すべきはこの「すべてをなぎ倒す」だと思った。傾向と対策のようなもので刻んでいくような方法ではなく、圧倒的に他と違う要素でなぎ倒す。そこに方法論はなく、作品にどれだけの力を込められるかだけが勝負になるだろう。

 思えば村上龍のデビューはこのケースであったろう。大きく賛否が分かれながらも高い評価を得た。ハードルの上だ下だといった価値基準とは別次元だし、もちろん網の目どころか網自体からも大きく外れたところから現れたのだ。

 新人賞という狭き門。わたしはその門をくぐるのではなく、塀ごと破壊して突入したい。「すべてをなぎ倒す」ような作品を書きたい。おそらくそれは賛否が分かれるだろう。でも賛否が分かれるということは、絶対に受け入れられないと拒絶される一方で、どうしようもなく好きだという人も現れるということだ。

 誰かに届くことを信じて邁進していきたい。

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