スタエフ連動企画「文章読本紹介、の紹介」の第七回。当該スタエフはこちら。
今回から、スタエフ収録前に先に扱う本の紹介note を公開し、それを後から収録、配信してみようと思います。新形式第一回となる今回紹介する本はこちら。
野崎昭弘氏による「詭弁論理学」です。この本は1976年に初版が出ている大変古い本で、2017年に「改版」として再リリースされました。
この本は議論のテクニックについて、大きく「強弁」と「詭弁」という二種に分け、実例を挙げながら解説しています。後半には論理パズルのような言葉遊びも紹介されていて、なかなか刺激的な一冊です。
強弁にしろ詭弁にしろ、正論ではない理屈を通すためのテクニックで、強引に押し切るのが強弁、巧みにだまくらかすのが詭弁といったところでしょうか。そのテクニックを学ぶというのは、ちょうどハッキングの技術を学んでセキュリティを強化するような効果がありますね。もちろんこれを読んでだます側になることも可能ですが、良識ある皆さんはこれを悪用するのではなく、世に蔓延る詭弁を見破るのに役立ててくださることでしょう。
わたしの場合、実はこの本を読んで最も大きな収穫だったのは、自分がこのようなテクニックを無意識に使い、相手を説得していることがけっこうある、という事実に気づいたことでした。以来、何らかの議論で相手を説得しようとするとき、わたしの言っていることは詭弁ではないか、ということを気にするようになりました。
この本を読むと、おそらくSNSなどで広まる似非科学や似非医学、インチキや嘘八百を見破れるようになるでしょう。日常でも、いつも言い負かされている相手が、どんな技を使って自分を言い負かすのか、わかるようになるかもしれません。
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